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2006.8.29版
SPINF運営委員会部会
「太平洋島嶼国のデジタルオポチュニティ研究部会」
(通称「PIDO部会」) 2006〜2008年 3カ年計画
1. 背景
1)80年代以降の電気通信に関する日本の協力
太平洋島嶼国の情報通信に関しては1980年代からハワイ大学のPEACESAT(Pan-Pacific Education and Communication Experiments by Satellite)と電気通信大学や東北大学等との協力関係が構築されていた。また旧郵政省が研究会を主催したり、USPNet(南太平洋大学遠隔教育ネットワーク)に関する研究が日本の研究者によって地道に行われてきた。 1988年に日本で開催された「太平洋島嶼国会議」を機会に笹川太平洋島嶼基金(SPINF)が設立。その会議において故カミセセ・マラ、フィジー初代首相から笹川平和財団故笹川良一名誉会長に対して太平洋島嶼国の福祉教育のための通信衛星打ち上げの要望があった。このことをきっかけにSPINFは1992年にPEACESAT再開のための政策会議(仙台)を助成、その後USPNetが日本・豪・NZのODA協調案件(98年)となる側面支援をしてきた。SPINFは1990年から2004年の15年間に約2億円を遠隔教育支援に支出した。 1992年からは日本の衛星を利用した国際協力事業パートナーズ計画が太平洋地域も対象に実施された。
2)2000年以降のICT支援に関するこれまでの経過
我が国のICTに関する支援事業は、ミレニアムイヤーを皮切りに、本格的に実施される様になった。即ち2000年7月の沖縄サミットにて採択された「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」(沖縄IT憲章)は我が国のイニシアチブでまとめられた。その際に我が国は「国際的な情報格差問題に関する我が国の包括的協力策」を発表した。その支援項目の柱は下記の4項目であった。
l 「ITはチャンス」との認識の向上と政策・制度作りへの知的貢献
l 人造り(研修・人材育成)
l 情報通信基盤の整備・ネットワーク化支援
l 援助におけるIT利用の促進
太平洋島嶼国に対しては、UNDP(国連開発計画)に日本政府が拠出した資金でePacifikaが実施され、国家ICT戦略の策定支援を行った。また、WHO(世界保健機構)に拠出した日本のODAでPOLHN(Pacific Open Learning Health Network)遠隔医療教育ネットワークが構築されるなど成果もあったが、全体としてみると、ASEAN諸国を中心とするアジアに支援の重点が置かれ、太平洋島嶼国のことがその議論に含まれることは少なかった。
2.PIDO設立とその活動成果
SPINFは、2002年に自主事業として「太平洋島嶼国デジテルオポチュニティ研究会」(PIDO)を立ち上げ、太平洋島嶼国を対象とする政策提言を日本政府並びに関係各機関に行った。2004年からは同事業のフェーズ2としてこの政策を啓蒙し実現する活動を実施してきた。過去4年間(フェーズ1、フェーズ2)の成果として次の4点が上げられる。
1)日本政府が推進しているアジア・ブロードバンド計画や島サミット宣言などに対し、 原案作成の段階や見直し作業の段階で、太平洋島嶼国におけるICT政策重視のための具体的提言をおこない、日本政府内における太平洋島嶼国への関心を高め、最終文書作成への貢献をおこなった。
2)2003年1月に開催された国連主催のWSIS (世界情報社会サミット) アジア太平洋地域会議において、サイドイベントとして太平洋島嶼国の会議の開催を支援した。(なお、この会議の集約として、太平洋島嶼国共同の提言文書が提出された)
さらに、2003年11月に開催されたWSISのジュネーブ会議のサイドイベントにおいて太平洋島嶼国重視の政策提言を行った。
また、2004年12月に開催されたWHOの太平洋島嶼地域における医療関者の人材育成プロジェクトPOLHNの会議でアドバイスを行うなどの貢献を行った。
3)サモア、パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦などの国レベルでの情報通信政策の策定を支援した。
4)特にルーラル地域におけるデジタル・デバイド問題解決に有効な役割を果たすテレセンターの整備とその持続可能な運営を支援するために、FDC (Foundation for Development and Cooperation:豪の開発NGO), ユネスコニュージーランド国内委員会、IDRC (International Development Research Cooperation:カナダ国際開発研究センター), GKP (Global Knowledge Partnership:ICT開発支援のための国際NGO)等の国際機関やNGOとの共催でテレセンター・ワークショップを開催した。(具体的には2004年12月オーストラリア・ブリスベンで、2006年2月ニュージーランド・オークランドで開催)
これらのワークショップには、太平洋島嶼国の多くのプロジェクト・リーダーや政府関係者が参加し、情報交換と相互学習を行った。なお、オークランドの会議で、バーチャル組織として参加自由のフォーラムPacTOC (Pacific Telecentre Online Community) を設置し、持続して情報共有と意見交換を行うことが合意された。Pactoc.Telecentre.org
その他、波及効果としてAsia Pacific Initiative(API)という修士レベルの環境講座が遠隔教育で試行され、国連大学、慶応大学、琉球大学、ハワイ大学、南太平洋大学、アジア工科大学等が参加する国際協力事業として成功を収めた。
3.今後の活動の基本的考え方:
PIDO部会は下記の4つの視点で調査研究活動を行いつつも、同時に日本の太平洋島嶼国に対するIT 支援の在り方に対し継続して提言・啓蒙を行う。また基金の第3次ガイドライン策定に資するに提言を策定することを目的とする。
1) PIDOフェーズI, IIで提案、支援して来た案件が有効にかつ効果的に実現するための提言や助言活動を強化し、積極的に行う。同時に太平洋島嶼国独自の電気通信事情(規模の経済、植民地型経営等)と、世界的に見て技術革新に対応できず、デジタルディバイドが深刻化し、エアポケット状態であることの関連を研究した上で、日本及び各種援助機関の太平洋島嶼国支援の評価と提言を行う。
具体的には、2006年5月開催の島サミットで採択された宣言(沖縄パートナーシップ)に付随する日本の支援策(USPNet、USPのICTセンター支援事業、アジアブロードバンド計画(WINDS超高速インターネット実験衛星)、POLHN等)を対象とする。このような活動を通じて世界のICTの活動に太平洋島嶼国が乗り遅れないように支援する。
2)基金が実施する助成事業、自主事業(例: 平成18年度から3年計画で実施される、「ミクロネシア地域のICT制度改革」(ハワイ大学)「太平洋島嶼国のコミュニティのための遠隔教育支援」(東海大学)等)にPIDO部会は、積極的に協力する。具体的には助成先からの要請があれば事業に講師等として参加したり、情報提供や意見を述べる。また基金事業室と調整の上、事業の評価や提案を行う。
3)海外、国内の関係機関が実施しているICT支援事業の調査研究及び情報交換を目的とした関連団体とのネットワーク維持。WSIS, PacINET(PICISOCが主催する太平洋島嶼国ICT年次総会), Pacific Plan (Pacific Islands Forumが2005年に策定した地域政策), POLHN(WPRO), GKP等の関係機関とのネットワークを維持強化する。
4)基金が過去(15年間)に行ってきたICT関連事業の評価及び今後の支援の在り方を検討する。
